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執筆者の写真Toshihiro Doi

いい授業をどう創造するか

今週は鹿児島、福岡、そして地元大分での仕事だった。続けて3日とも授業に関わるお仕事で、とっても楽しかった。学校に関わり、授業に関わり、先生たちと話し、子どもたちの様子を見るのはやっぱり楽しい。それも、小学校、中学校、高校、公立、私立、いろんな学校種で見ることができるのは面白いし、自分の中で色々と比較ができる。その知見は、また次の場所で役に立つ。自分自身も少しずつスキルアップし、経験値を貯めているようで心地よい。





今週のブログは「いい授業をどう創造するか」とした。今週見ることのできた授業はとても若い先生たちが多かった。学校現場は今、若い先生と大ベテランの先生の二極化が進んでいる。団塊の世代である50代後半の先生がとても多く、私くらいの40代の教員が極端に少ない。そしてその50代の先生たちが退職ラッシュで、若い先生たちの採用数が年々増えている。入れ替わりの時代にある。


職員室に行くと、ベテランの先生とともに、退職後の再任用で働く元校長先生や、半日勤務の支援員さん、それと大学を出たばかりのような若い先生たち。人数が少ない中堅どころの先生たちは、学校の中心として多くの分掌や重要な役を任せられ、同時に安定した学級経営を求められている。加えて若い先生たちの指導や教育実習生なども。歪な年齢構成の中で管理職の先生たちは頭を悩ませている。


そこに、変形時間労働制の導入、外国語教育や、プログラミング教育、一人一台端末の整備など、これまでの経験値が役に立たないことがたくさん入ってきている。まさに答えのない課題にどう対峙していくかを問われている。






ICTに関わる授業に関しては、若い先生たちが行う場面が多い。そもそも拒否反応を示して取り掛かろうとしない世代が一定層いるので、必然的に若い先生にバトンが渡されることが多いのだ。しかし、ICTが使える若い先生には肝心の授業スキルや、教員としての基本的技術、学習過程や指導内容がしっかり身についていない場合が多くある。


なんとなくICTは使ってはいるが、指導の仕方や授業内容はイマイチな場面に多く遭遇する。そもそもの教材研究や授業に対するスタンスがずれているのだ。事前の授業に関する指導も旧態依然としていて、指導案の書き方や文言の修正などを細かく行なっていることが多くあり、肝心の授業者の思いや、イメージが共有されないまま、学校の研究テーマや、ベテランの先生たちの昔ながらの指導をしていることがある。ICTに関しては若い先生たちにアドバンテージがあるため、素直に聞けない側面もあったりする。


今回、Zoomなどで事前の授業づくりから関わった学校の授業は、とても素晴らしいものになった。もちろん、その先生のポテンシャルも高かったし、学級経営もうまくいっていた。数ヶ月の間に一気にブレイクスルーし、授業に対する考え方や、子どもたちの捉え方が大きく変容したのだ。





公開授業や研究授業はその1時間だけではなく、それまでの積み重ねや、先生と子どもの距離、授業に対するスタンスが見える。先生たち同士、余裕のない毎日を過ごし戦っている中で、いい授業を作っていくためには、外部のリソースをうまく使っていくことも、これからは必要かもしれない。人間関係や利害関係にとらわれず、純粋に授業についてともに考えて、悩むことのできる人がいるのは、心強いのかもしれない。


ICTを使って、これからの子どもたちに必要なスキルをつけるための、一歩先行く授業を作り出すには、ベテランの知見と若者への関わり方、外部の人たちの鋭い示唆、若い先生たちのダイナミックな発想を尊重した授業作り、いろいろな要素が大切なのかもしれない。指導や研究の進め方も、改革が必要だ。

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