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執筆者の写真Toshihiro Doi

こんな時だからこそ

今日の大分は快晴、朝の空気は冷たかったが気温は上がっていきそうだ。田舎道には小さな花が咲いて、木にも新芽が出たり、花が咲いたりしてきて、ようやく春がやってきそうだ。


うちの子たちも来週は2人卒業式、この2年、これまで通りではなかった学校生活で、失った時間や思い出、体験は多い。それでも胸を張って逞しく卒業していくのだろう。子どもたちの適応する力はすごいな、と改めて思う。


仕事の方も軒並みオンラインへ変更、難しい研修も知恵と工夫で何とか乗り切ってきた。見え方や見せ方、伝え方、声のトーン、進め方、時間配分などオンラインでもハンデを感じずにできるようになってきた。でも出かけて行って会って話したいし、体験したい、と思うこともある。ここ一番、自分で選択して会いにいくことも大切だな、と思う。





今週、平和な世界の秩序は大きく崩れてしまった。リアルタイムで更新されていく世界情勢。これだけメディアの種類が多様化すると、情報はイヤでも目に入る。それは子どもたちも同じ。


ハイブリッド戦争、などと呼ばれ、情報の操作やサイバー領域でも攻撃を仕掛けられている。今週学校で、子どもたちにどう伝えただろうか。伝えるべき情報も錯綜していて、それぞれの思惑や事情を深掘りしていくと、どこをどう伝えるのか悩む。偏りがあったり、間違いがあったり、恣意的に操作されていたり、事実を正しく理解することも難しい。


でもはっきりと言えることもある。明らかに間違っていることもある。これまでは先生が情報を噛み砕いて、必要な部分を端的に伝えていた。でも今は手元に情報を入手する手段がある。今起きていることを自分なりに調べたり、考えたり、データを見てみたり、事実を正しく理解するための方法はたくさんある。


フェイクニュースやデマ情報、そんなものも山ほどあるだろう。SNSやメディアとどんな風に付き合い、事実を自分なりに理解していくのか。まさしく”メディアリテラシー”が問われている。これは大人たちも同じ。





OECD Learning Framework 2030(2030 年に向けた学習枠組み)の中にこんな記述がある。


私たちの社会を変革し,私たちの未来を作り上げていくためのコンピテンシー

・新たな価値を創造する力

・対立やジレンマを克服する力

・責任ある行動をとる力


の3点が挙げられていて、「対立やジレンマを克服する力」の中にこんな一文がある。


対立する要求の間でバランスをとることが求められる場合,二者択一での選択や単一の解決策につながることは稀である。十分に練られていない結論を出すことを避ける,相互関係を認識するなど,一人一人がより総合的に考える必要がある。相互依存や紛争が生じている世界では,自分や家族,あるいはコミュニティのウェルビーイングを確実に確保していくためには,他者のニーズや欲望を理解する力をつけるほかないのである。





今ここにいてできることは何だろうか。地下鉄に避難して、震えている子どもたちがいるのに、知らん顔して日常を送っていていいのだろうか。何が変わるわけでもないけれど、せめて自分で考え、少しでも行動してみることは必要だと思う。そんなチャンスを学校で提供すること、そんな思いを伝えることはできる。


平和を祈る気持ちはみんな同じ。言われなくてもわかっているはず、でも祈るだけではなく、何を考え、どう行動するのか、ジブンゴトとして捉え、対話を続けること。その大切さを体感し、伝えることができるのが学校の役割かもしれない。

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