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執筆者の写真Toshihiro Doi

ゴールラインはどこか

今週は迷走している台風の影響か、気まぐれな秋の天気なのか、すごい雨が降ったり、ゴロゴロ雷が続いたりすることが多かった。この後の進路も気になるところだ。9月に入って台風シーズンがやってきた感じがする。田んぼの稲も順調なので、何とか影響のないまま収穫を迎えたい。


今週は県内でのオンライン仕事、対面での研修、そして今は大阪でブログを書いている。夏休みの研修ラッシュも少し落ち着いてはきたが、秋の研究会シーズンに向けて、またじわっと忙しくなってくる。





学校の世界では、秋の運動会が終わってから冬休みに入るまでの期間、各地で研究会が行われる。学級経営も落ち着いて、大きな行事を乗り越え、子どもたちも落ち着いてきたタイミングの10月から12月の初旬までがそのシーズンにあたる。


それぞれの学校で提案授業といわれる授業を代表者が行い、みんなでそれについて議論したり、研究したりする。いくつかの学校では、公開するかたちで実施され、いろんな学校から先生たちが授業を見に来るのだ。そしてその授業に対してコメントしたり質問したりしながら、自分達の研究や授業の参考にする。要は、モデル校、パイロット校、研究校と呼ばれる学校の発表会だ。


ここ近年はGIGA端末を活用した授業が当たり前に行われる。どんなシステムを使ってどんなふうに授業をするか、それぞれの学校の研究テーマに沿った形で展開される。私もいくつかの学校から依頼を受けて見に行き、コメントする仕事が結構ある。その際には、授業を作るところから関わることが多い。





具体的にはこの時期くらいから、授業者とオンラインで一緒に作っていくのだ。その人のクラスの様子を聞き、その先生のキャリアや、大切にしていること、この授業でどんな子どもの姿が見たいのか、ICTでどんなアウトプットを狙っているのか、いろんなことをヒアリングしながら授業の形を作っていく。


その先生らしさや想いを大切にし、子どもたちの主体的に学ぶ姿をどう実現していくかを一緒に考えていく。最初は多くの先生たちが、教科書通りの無難な授業をイメージしている。でもそのゴールラインは、あまり子どもたちはワクワクしないし、イメージしているゴールラインを越えることのない、少し退屈な授業になることが想像できる。


だから一歩先の、ワクワクするような課題設定を一緒に考えるようにしている。大人もゴールが想像できないような、子どもたちの創造力に委ねたり、自由な領域を設けたりしながら、先生の手のひらで転がすようなものではなく、一緒に楽しめるような課題を設定するのだ。





GIGAの前のアナログな道具を中心としていた頃の授業では、到達できるポイントはずっと手前にあった。でも一人一台の端末が手元にあることで、実現できることは相当増えたはずだ。情報を獲得するだけではなく、その情報を元に再構築したり、自分なりに表現したり、その表現の形も多様性が出せるようになった。スライドでまとめるだけではなく、動画で伝えたり、音声を中心にして伝えたり、思うような表現ができるのだ。


でも現実にはそうなってなくて、先生たちの想像できる範囲で、これまでのアナログを基盤にした、大人が安心できるくらいのところに留まっていることが多い。自由な余白や、子どもたちに委ねることに対してあまり肯定的ではない先生が多いのだ。


自律的に学ぶことや、主体的な学びを実現させたいのであれば、もっとワクワクするような課題設定や、子どもたちの想像力を信じ、委ね、認めていく大人のスタンスが必要だと思う。イメージしているポイントよりも少し先にゴールラインを設定し、子どもたちを信じ、任せてみることが求められているのかもしれない。



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