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  • 執筆者の写真Toshihiro Doi

チャレンジを許容しよう

すっかり朝晩は寒くなり、夜はコートが必要な季節になってきた。夜空もすっきり澄んだ空気で、皆既月食も綺麗に見えた。滅多にない瞬間を見届けようと、空を見上げるたくさんの人たちの様子を見て、ちょっと嬉しくなった。


今週も京都出張、県内ではたくさんの自治体訪問と会議、濃密な打ち合わせや研修の時間を過ごして、オンラインではない、対面での高い熱量を感じることができて嬉しかった。対面での良さはその場の空気感や、余白の時間、何気ない対話からひらめいたりすることだと思う。きっちり決められたオンラインミーティングでは起きにくい偶発的なことが起きるのも、対面の大きな効果だと思う。




GIGAスクールのスタートから1年半以上が経過し、いろいろな変化が起きてきている。GIGAスクールの前から整備を進めていた自治体や、導入と同時にスキルアップの研修の予算を確保し、着実に進めてきたところもあれば、導入に精一杯で、その後のスキルアップ研修や先生、学校に対するサポートまでできなかった自治体。予算の関係でそもそも研修が組めなかった自治体。


着実に進めてきた自治体については、日常的な使用や、いわゆる活用率のようなものは、安定して高い水準を維持できている。一方でこれまで教職員に対して全く研修をしておらず、導入以降それぞれの学校や、少し詳しい先生たちのスキルに任せ、教育委員会主導の研修や人材育成を全く行っていない自治体については、厳しい状態になっている。


そんな風に自治体間の格差は開く一方になってしまっているのが現状だ。残念ながらここまでほとんど研修や人材育成を行っていない自治体については、活用率の低さだけではなく、これまでになかったような新しい実践の報告はほぼ無い。





新学習指導要領令和の日本型学校教育 などの文書を丁寧に読み解いていくと、これまでの授業に単純にICTを組み込めば良い、というようなものではないことが容易にわかる。さらに詳細に書かれているのはSociety 5.0の実現に向けた 教育・人材育成に関する政策パッケージ 、とても読みやすく、内容がスッと入ってくるのは未来人材ビジョン で、データもたくさんあり、結論についてもとてもわかりやすい。


矢継ぎ早に国から出てくるこれらの多くの答申や文書を読んでいくと、現場の状況との乖離を感じてしまう。だからこそ、こんな世界観を実現でき、これから先、子どもたちに身につけていきたい力についてもっと深く考え、どんなふうにして授業の中でその力を養っていくことができるかを思考する必要がある。その実現のために、どのような授業をしなければならないか、ということをもっと実践ベースで考えていく必要がある。


おそらくその実現のためには、根本的な授業のフレームや、当たり前の仕組みを変えていくこと、これまでのマインドセットを変えること。日々の授業を充実させ、子どもたちに授業の良し悪しについて率直に聞くことができ、ダメ出しされるような関係構築が必要だろう。





ココとココををこんな手法で授業をすれば大体うまくいく、というようなスタンダードを作る必要はなく、先生自身が解放され、自分にしかできないこと、自分がすべきこと、などを認知し、子どもたちと対話しながら授業を作っていったり、ニーズや流れに合わせて変容していけることが大切だ。


そのためにも、先生たちがぼんやりとものを考えるような時間的、精神的な余裕や、それを語り合える仲間、コミュニティの存在。チャレンジを許容できる環境が必要だ。1つの失敗も許されないような苦しい状況の中でいいい授業は生まれない。そんなことを容認し、先生たちを応援できるような社会全体の雰囲気を作っていきたい。

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