今年のEducation Bridge海外視察ツアーは8月8日から14日までマレーシアに行ってきた。昨年のツアーがとても良かったので、終わった段階から来年どうしよう?と考えていた。そのくらい海外の学校、教育に触れることは私にとっていい刺激になっている。そして一緒に行く旅のメンバーも重要で、誰と旅するかは重要なファクターだ。
当初はベトナムに行こうと考えていたけど、なかなか人のつながりを見つける事は難しく、難航した。さらには夏の期間は学校が休み、という致命的な事実もわかり、場所の変更となった。昨年のインドネシアに近いマレーシアを候補にし、早速色々と当たってみた。ただの旅行ではなく、学校視察となると飛び込みでは難しく、できればこちらの思いを汲んで賛同し、一緒に考えてくれる人が理想だ。
たまたま見つかった[BAMBIS]という会社の方にお願いすることになった。奇跡の出会いから何度もオンラインでのミーティングを重ね、少しずつ旅程が固まってきた。こちらの状況や参加者のこと、どんな未来を描きたいかまでしっかり伝えた上で、訪問校を選んでもらうことができた。
マレーシアの教育事情を一言で表すなら「グラデーションがくっきりしている」という印象だ。多種多様な学校が共存している。
マレーシアの人口は約3,260万人(2022年マレーシア統計局)。そのうちの80%弱は半島マレーシア(西マレーシア)に住んでいる。人口構成はマレー系を中心とするブミプトラが約70%(先住民15%含む)、中国系が約23%、インド系が約7%となっている。
国民の平均年齢は29.2歳、経済成長率も高い
長年教育政策に力を入れ、国をあげて学校教育の充実へ取り組んできました。産業の高度化を目指しており、特に技術科学分野や、IT分野での人材育成に力を入れています。近年、高度教育へ進学した約半数近くの人が技術科学分野の教育を受けています。
平均年齢だけみても子どもたちの数は多く、教育にもしっかり力を入れている。今回は中華系の学校や、インターナショナルスクールとローカルスクールが併設している学校、フリースクールなどを見て回った。
それぞれの学校に特色があり、自分たちで寄付を集めて施設やカリキュラムを充実している中華系の学校は自分たちの学校を「semi公立学校」という言い方をしていた。公立として国からのお金ももらいつつ、自分たちで寄付を集め、独自の教育を確立していた。その学校で見た英語の授業は衝撃的で、もちろんAll Englishなのだけど、その先生のテンポの良さ、準備されたスライド、プロジェクトを盛り込んだ内容、小学校の英語とは思えないレベルの高さで、しかも子どもたちが楽しそうに活動していた。
どの子も恥ずかしがったり、もじもじしたりせず英語表現を楽しみ、頭を働かせ、自分たちの伝えたいことを話していた。この世代からこれだけ英語を話しているからこそ、ほぼどこに行っても英語での会話が成立するんだな、と納得した。
インターナショナルスクールとローカルスクールが併設している学校には2校行った。とにかく施設が凄すぎて圧倒された。日本の学校のトップ校でもこの施設はなかなか見ることができないレベルだった。幼、小、中高、大学も併設されていて、その全てが緻密にデザインされていて、動線や居心地、余白までが計算されているように見えた。それが今から20年以上前に作られていることにもさらに驚いた。空間から生まれる発想やゆとりは間違いなくあるな、と感じた。
グローバルリーダーになるためには、ということがあちこちに掲示されていて、いろんな分野で表彰された子どもたちの写真や名前も貼り出されていた。とにかく世界を動かしていくんだ!という気概を感じた。そしてその衝撃的な学校は現地でいうところのスタンダードなレベルで、このレベルの学校はあちこちに存在する、ということだった。
マレーシアの学校の規模や種類は多様で、多くの選択肢がある。日本では私立か公立か、行くか行かないか、という選択肢しかないけど、マレーシアでは学校によって雰囲気やカラーも違うし、見ている世界も違う。その中で自分にフィットする学校を選ぶことが容易にできる。学びの多様性が認められているのだ。それはこの国の風土や成り立ちに近く、多くの国からやってきている移民と、島を含めた多様な民族が共存する国だからこそなのかもしれない。
総じて言えることは、子どもも先生も元気で明るい。その学校が好きで学ぶことを楽しめている様子が見てとれた。先生たちも自分たちの学校が大好きで、仕事に誇りを持って働いている、ということだ。子どもたちの前でニコニコ笑顔でいられること、誇りを持って楽しく働く姿を見せられること、何より大切な基本スタンスを再確認できた。
次回はカルチャー、フード編、お楽しみに!
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