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  • 執筆者の写真Toshihiro Doi

今がチャレンジのタイミング

11月ももうすぐ終わり、いよいよあと1ヶ月で今年も終わりになる。散歩にも手袋や帽子が欠かせなくなってきた。昨年の年末とは違い、どこへ行ってもたくさんの人であふれている。少し落ち着いている中で、多くの人たちが活動を再開していることがわかる。


飛行機や電車も満席のことが増えてきている。クリスマスのイルミネーションもあちこちでキラキラし始め、少しずつ生活が戻ってきている感覚になる。しかし、学校の中の規制は以前変わらず、新しい指針は出ているものの、子どもたちに課せられた制約はきつい。黙食や、マスクの着用など、今ははっきりしないけど、後々大きな影響が出るんじゃないかと心配になる。学校の中の規制を緩めていく方策についてもしっかり議論し、実行してほしい。子どもたちを解放してほしいと願う。





さて、今週は休み返上で移動もあったが、京都や福岡で授業を見させてもらうことも多かった。研修、ワークショップも連日続いている。たくさんの学校に訪問し、授業を見せてもらう中で気づくこともたくさんある。この時期に見る授業は、学校の研究授業がほとんどだ。その学校の研究テーマに沿って、若い先生が何ヶ月も授業を考え、悩み、準備してきた授業だ。


なので、それは日常ではない。その指導案は先輩たちの目を何度も通り、たくさんのアドバイスを受けながら形を変え、練り上げられたものになっている。若い感性で、担任として挑んでみたい、という当初のイメージから離れてしまっていることも多い。練り上げられた指導案にあるのは、従来からの研究の手法で作られてきた「いい授業」だ。


今必要なのは、授業改善ではなく「授業改革」だ。抜本的にあり方を変えていく必要だあるのだ。ICTが子どもたちの手元にある中で、これまでと同じ指導、教授、というポジションの中で、授業を創り上げてもうまくいかなくなることは明らかだ。しかし授業の組み立て方、指導案の書き方は従来のものから変わらない。





指導主事も、ベテランの先生たちも、GIGAのような1人1台の環境での実践の経験はない。私学でさえ一部の学校しか実現できていない。過去の成功体験や物差しで判断している以上、新しいイノベーションは起きない。授業のあり方の正解はこれからみんなで創っていくのだ。


だからこそ今のこの時期は、チャレンジを繰り返し、最適解を探すことに注力したい。若い先生も、ベテランの先生も、それぞれのキャリアやものの見方、考え方を活かしながら、自分らしい授業を模索していく必要がある。効率よく知識を伝達する技術を持つ教師が、素晴らしい教師ではないのだ。





先生の個性を活かしながら、それぞれの多様性を尊重し、子どもたちの姿から授業の良し悪しを看取るしか方法はない。子どもたちの創造性を発揮させ、伸ばしていけているか、学びの楽しさや本質を味わえる授業になっているか。個別最適な学びが保証され、協働的に学ぶ喜びを感じられているか、情報活用能力をつけられているか、多くのことが求められている。


目の前の子どもたちが安心して学べる学級経営や、成長のための課題を掴む力、その課題に対しての手立ての引き出しを増やすこと、その上でチャレンジできる勇気と、それを許容できる職場環境、人間関係、そして心のゆとり、いろんな条件が必要だ。子どもたちと一緒に未来を創るためには、安定から抜け出し、チャレンジをするしか方法はない。そして今がその絶好のタイミングだ。

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