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執筆者の写真Toshihiro Doi

出る杭を引っ張り出す

今週に入って一気に気温が下がり、大分でも朝晩はかなり気温が下がってきた。昼間でもコートが必要なくらい風が冷たい。ピリッとした朝の空気は冷たくて、ストーブの火がうれしく感じられる。


今週は東京出張に始まり、県内でも公開研究会や、教育委員会との次年度の予算や事業の計画、利活用の相談など、盛りだくさんで、多い日は1日に6件くらいのアポがあり、目が回りそうな分刻みの毎日だった。自転車操業は昔からだが、ギリギリの生活が続いている。





各自治体では、今年度の課題を洗い出し、次年度に向けてどんなことが必要か、どれだけ予算を積み上げることができるか、そんなことを考える時期になっている。こちら側もできるだけ寄り添いながら、一緒に頭をひねる毎日だ。


多くの予算をかけて整備したGIGAの端末、今年は「GIGAスクール元年」と呼ばれた年となり、昨年度の整備のドタバタの後、利活用にウェイトをさいてきたはずだ。さて、現状はどうなっているだろうか?もちろん成功し、新しい授業スタイルや、素晴らしい実践が生まれている現場も多くあるかもしれない。


しかし多くの自治体は、コロナの情勢も相まって、思ったほど現場での利活用は進んでいない現実があるんではないだろうか?動き始めて見えてきた整備に関する課題、設定に関する課題や不備、思っていたように動かないネットワークや諸々のインフラ。予算の追加調達もままならないまま、それでも現場は、日々前進し続けている。





新しいことが導入され、はじまった時、時代の転換期に当たった時「出る杭は打たれる」という現象が必ず起きる。公務員である教員、特に「学校」という現場では、同質のクオリティで、全国一律で、どこに行ってもいい教育を提供するための仕組みが整っている。ある意味それはとてもすごいことで、これまで積み上げてきた努力や研究の賜物で、それが日本の教育の質を支えている。


教育の現場ではこれまでずっと、良くも悪くも同じスタイルで、効率よく多くの人数で学び取っていける仕組みはどうあるべきかを追求してきた。学力を高め、いい学校に進学し、就職し、幸せな家庭を築くことが最良の人生だ、という価値基準があった。


しかし時代は大きく転換し「多様性-ダイバシティ」が尊重される時代になっている。社会基盤の多くが、多様性を認め、個を尊重し、大切にすることが当たり前の価値になりつつある。そんな中で教育の現場では「出る杭」を大切にしない文化が残っているように感じる。


今までに経験がなく、多くの人たちが不安を感じている時、なかなか変われない構造ができてしまっているのではないだろうか。様々なリスクを排除し、安心して進めていく道を選択しがちだ。しかしそれではイノベーションは起きず、安定した道を選択し続けることで、また変わるきっかけを失うかもしれない。





全国一律に整備が進み、学校の環境は一変した。情報のインフラが子どもたち全員に付与されたのだ。多くの物事を知っていて、上から子どもたちに教授していく構造はもはや崩壊している。そのことに気づいたイノベーターたちは、今変わろうともがいている。


そして、モヤモヤしながら、試行錯誤しながら、新しい形を模索しようとしている。次の時代を築いていくであろう「出る杭」を引っ張り出すのが私の役割なのかもしれない。既に先を歩いているイノベーターたちは、そんな出かかった小さな芽を、早く見つけ、叩くのではなく引っ張り上げていってほしい。そして私自身も、そんな先生たちの最強の応援団として支え、伴走し、発信するお手伝いをしていきたい。



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