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  • 執筆者の写真Toshihiro Doi

学力向上と新しい授業

夏らしい暑さが続く毎日がやってきた。毎週のように都内のビル街を歩いていると、田舎では体験できない特有の暑さに、クラクラしてしまう。田舎の暑さと、都会の暑さには大きな違いがあり、地面から上がってくるモワッとした暑さは、都会特有のものだと思う。大分にいると体感できない種類の暑さだ。そして田舎に住む私は、その暑さがとても苦手だ。


夏休みに入り、怒涛の研修祭りがスタートした。今の学校は昔のようなのんびりした夏休みなどなく、多くの先生たちが連日研修を受ける期間になっている。かなり忙しい先生たちの時間を奪っている以上、それなりの満足感や、2学期から活かせるようなものを持って帰ってほしいと願う。





GIGAスクール構想が始まってから、学校の教育環境は大きく変化した。子どもたちの机にはタブレットがあり、それを活用した授業を求められている。当たり前だけど、税金で購入されたこの端末は「使わない」という選択肢はない。学習環境の一つとしてそこにある。


「学校」という形が始まってから、ずっと変わってこなかったこれまでの学習スタイルのまま、タブレットを活かした授業を実施するのは意外と難しい。テクノロジーがない中で、知恵と工夫、長年にわたる研究で、一斉講義型の学習スタイルで、どうやって効率的に学ばせるかを積み重ねてきたからだ。


時代はこの数年で大きく変わり、私たちの生活も変化してきた。数年先の未来が見通せない時代になっているのだ。そんな中、子どもたちに施す教育はどうあるべきか。新しい授業、学校への変革が求められているのは間違いない。





私が関わる多くの先生たちは、未来の学び、新しい授業にチャレンジする人たちだ。先生たちと、子どもたちが学びの主役になれるような、創造的で新しい授業にチャレンジしている。そんな時、ふと頭をよぎるのが「学力向上」という課題だ。特に受験、進学が絡んでくる年代に近づくほど、不安は大きくなる。


国が求めている「確かな学力」は


知識や技能はもちろんのこと、これに加えて、学ぶ意欲や自分で課題を見付け、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題解決する資質や能力等まで含めたもの


と定義されている。そして、多くの教育委員会や学校、先生たちが基準としてみているのは全国学力・学習状況調査のポイントがどうなったか、という部分だ。平均値がどう上下したか、自分の学校や自治体のポジションはどこにあるかを気にしている。


しかしその問題をよくみてみると、従来のような暗記した知識をただ書き連ねるような問題は、本当に一部しかなく、複合的な知識を求めたり、思考しながら解答しなくては解けない問題の割合が増えている。


私たちの頭に描く「学力向上」のための、基礎基本を習得させるための反復演習だけでは、対応できない問題が圧倒的に多いのだ。新しい課題に対して、前向きに複合的に知識を組み合わせ、情報を整理しながら解いていくことが求められている。





国立教育政策研究所が出している全国学力・学習状況調査 授業アイディア例をみてみると、まさに今チャレンジしているような、子どもたちの興味関心を生かしながらプロジェクト型で進めていく、ワクワクするような授業が挙げられている。


学力向上で必要な要素は、新しい授業への変革なのだ。基礎基本がいらないわけではないけど、そこばかり繰り返していても、求められている学力には対応できない。新しい授業のフレームの中で、個の学びを充実し、関わりながら、協働しながら進んでいく授業、課題を見つけ探求していく学びが求められている。


今、チャレンジを続け、モヤモヤして苦しんでいる先生たちは、イノベータとしてそのままチャレンジを続け、少し先の未来の教育を創造してほしいと思う。そうやってチャレンジし続けることで、きっと新しい授業のあり方が見えて、いつかそれが当たり前の日々がくるはずだ。そうやって先頭を走るイノベータの存在が、変えていくタイミングでは絶対必要だ。だから私も、後ろからそんな先生たちをそっと後押ししていきたい。


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