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執筆者の写真Toshihiro Doi

支援する人

あっという間に夏休みが終わり、9月がスタートした。急に秋らしくなり、朝晩は少し肌寒い。1年前は「きっと1年後には終息しているだろう」と楽観視していたコロナだが、事態は悪化していて、全国的にも学校、教育委員会はパニック状態だ。


子どもたちにも感染してしまう変異株の猛威で、日々戦々恐々としながらの学校生活が続く。いつ陽性者や濃厚接触者が出て、休校になるのかもわからない綱渡りの状態だ。保護者の中にも不安は広がり、やむを得ずオンラインやハイブリッドの対応になる自治体も増えている。同時に私のところにも、オンラインでの教育をどう進めればよいか、相談がたくさん寄せられる。





今週はそんな最中ではあるが、関東方面へほぼ1週間出張だった。その中で、ある自治体のいわゆるICT支援員さんたちとがっつり話す機会があったので、「支援する人」というタイトルでブログを書いてみようと思う。


今の学校の中には、多様な職種の人が働いている。先生たちの多忙化を解消するためだけでなく、子どもたちにとって必要な支援を、より手厚く行なっていくために、ここ10年くらいで昔に比べるといろんな人が関わるようになった。特別支援の支援員、学習支援員、少人数加配の支援員、ICT支援員など自治体によって様々な人がいる。今はボランティアで消毒作業などを行なってくれる方もいる。


免許が必要な場合とそうでない場合があるし、雇用の時間は様々あるが、概ね毎日学校にやってきて、子どもたちからも「先生」と呼ばれる。中でもこのGIGAスクール構想の中でニーズが高まっているのは間違いなく「ICT支援員」と呼ばれる仕事だ。さらにはGIGAスクールサポーター、という新しい職の方も存在する。





私もずいぶん前からICT支援員さんと関わり、その待遇や労働環境の悪さに対してのアクションは続けてきた。今の会社でも、うちの名刺を持って現場に出向いているメンバーがいる。


そんな中、令和3年8月23日「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について」という通知が出された。その中でこれまでずっと曖昧で、主たる業務の定義が各自治体でバラバラだったICT支援員の業務について書かれている。


情報通信技術支援員について

1. 情報通信技術支援員は、GIGAスクール構想の推進により、全国の小中学校等において、児童生徒の1人1台端末や高速大容量の通信環境等が整備され、学校への配置の必要性がますます高まっているICT支援員について、教職員の日常的なICT活用の支援に従事する職員として、施行規則第65条の5に規定するものであり、その具体的な職務内容は、ICTを活用した授業支援、校務支援、環境整備支援、校内研修支援等が考えられること。



「情報通信技術支援員」という呼称が明示された。そして職務内容のハードルはかなり高い。しかし現状現場にいる人たちは、全員がそれらしい免許を保有しているわけでもなく、その多くはハローワークなどで募集が行われ、その賃金や待遇も決して良くない。現場でもぞんざいに扱われがちだ。


そして圧倒的に人員が足りていない。ニーズはあるもののしっかりとした仕様や雇用条件、仕事の内容の明確化が図られていないせいで人も集まりにくい。さらに足りていないのは、その人たちをマネジメントする人たちだ。その多くは教育委員会や委託先の企業になるが、どちらも十分なマネジメントはできず、当事者が孤軍奮闘し、個の頑張りに依存していることが多い。





しかし皆一様に「子どもたちのために」という思いを抱いて学校で働いているが、気持ちだけでは難しい部分もある。先生たちと円滑にコミュニケーションをとり、ニーズに対して支援が的確に施せるような人たちをもっと増やしていきたいし、現場の先生たちも上手に活用し、仲良くなって連携を深めていってほしい。


今の学校には、先生の力量や裁量だけでは解決できない困難なことはたくさんある。そのために必要な「支援する人」は身近にいる。あとは互いのコミュニケーションを密にし、サポートできるスキルを身につけたり、それをマネジメントできる人を育成しながら、とにかくこの難局を乗り越えていくしかない。

「学びを止めない」とはそんなに簡単なことではない。そのために今、大人がしっかり手をつなぎ、心折れずに試行錯誤を続けていくしかないのだ。

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