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執筆者の写真Toshihiro Doi

未来の学校

長かった雨もようやく上がり、不安定ではあるけど夏の気候になってきた。朝早くから、蝉の声もうるさいくらいだ。雨が降れば草は伸び、芝生も伸びる。庭の草刈りと田んぼの畦の草刈り、この時期は毎日、毎週のようにその管理に追われる。毎年のことだけどなかなかきつい。






今週は東京、名古屋と出張に出かけた。感染者も多いが、以前よりも普通に人は動いているし、前ほどの緊張状態はない。今週ある学校を見学することができた。学校の創設者は以前から親しくさせてもらっている人で、お仕事も一緒にすることがある。


創る前から、コンセプトは聞いていたし、いつか作りたいと語っていた。でもその数年後本当に学校を作ってしまったのだ。そして何度も声をかけていただいて、ようやく見に行くことができた。


建物としては、居抜きの公立の学校なので外からはわからないけど、一歩中に入ってみて驚いた。ほんのりと木の香りがする校舎、細部まで緻密に設計された校内。子どもたちがリラックスして学べる空間プロデュース、そこは作り手の想いが透けて見えるような校舎になっていた。





「当たり前のことを疑う」と言っていたが、履いてきた靴のまま校内で過ごす、4学期生、給食はケータリング、教室には3名以上の教員が常駐、25人学級、45分授業ではない、などあげればきりがないくらい多くの違いがあった。


より良い教育環境と、不必要なものの削減、徹底した業務改善、たくさんの工夫、ヒントになりそうなことはたくさんあった。プロジェクト型の学習や、探究の授業も見学させてもらった。小学校2年生の子どもたちが、自ら問いを立て、自分の周りにある疑問に対して探求していく様子はびっくりした。


保護者サポーターも、子どもたちと積極的に関わりながら時間は進んでいく。探究のテーマを見つけていくプロセスはきっと苦労もあっただろうし、丁寧な関わりをしてきたんだと思う。子どもたちには自分なりの理由とストーリーがあり、ちゃんとどの子もそれを語ってくれた。


もちろんレベルは様々で、自分の興味関心からのテーマ設定の子もいれば、家族のために、という子どももいるし、地球レベルで未来を憂うようなテーマについて探求している子どももいる。大切なことは、意欲的に課題に向かっていけているかどうか、手法も含めて学び取りながら前に進めているかどうかだ。


そういう意味ではどの子も楽しそうで、生き生きしていたし、互いのテーマも意識しながら関わろうとしていた。まさに個別最適な学びと、協働的な学びが共存している空間だったように思う。


先生たちが子どもにかける言葉や、求めるハードルは、一見すると高いように感じた。低学年の子どもたちにも大人と同じような言葉でアプローチしているし、難しく高いハードルを設けているような気がした。でもそれなりに答えられる子どもはいるし、その様子を見ながら引き上げられている子どももいた。


私たちの中で、「これは無理だろう」「このくらいが適切だ」と思っているラインよりも、子どもたちの可能性はもっと先にあるのかもしれない。そう感じる場面がたくさんあった。子どもたちの可能性を狭めない、諦めない、という学校としての覚悟が透けて見えた。





コンセプトベースで0→1で学校を創ると、こんな学校になる、というのを見た気がする。教員採用試験の倍率が1%を切るような教員不足のこの時代に、こんなにも楽しそうに元気に働く姿を見て、元気と希望をもらえた。


未来の学校は、もっと多様化が進むだろう。公立学校だけではない選択肢はきっともっと増えてくる。社会との接続や、求められる力、学力観も含め多様化してくる。子どもや親が学校を選べる時代は近い。しっかりとしたコンセプトとビジョンに基づく学校づくり、カリキュラムづくりが大切になってくる。そうやってそれぞれの子どもにフィットする学校がたくさん出てくるといいと思う。未来の学校の一つのあり方が見えた気がした。

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