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  • 執筆者の写真Toshihiro Doi

子どもたちをどう守るか

夏休みも終わりを迎えようとしている。早いところではもうすっかり学校が始まっているようだ。学校にクーラーが入り始めた辺りから、少しずつ8月の最終週くらいに2学期が始まるとこが増えてきた。最後の1週間を補充学習的に使っている学校もあれば、しっかり授業をしているところもある。


夏休みの宿題も、結構たくさん出されていて、これをこなすことにどれほどの効果があるかわからないけど、当たり前のように前例踏襲して多くの宿題を課す。子どもたちの余白を奪い、苦行を強制し続ける限り、自分の興味あることを学ぶ意欲や、大切な時間を奪ってしまうだろう。その結果として、大人たちが求める自立して学ぶ子どもは育たない。


今週も家族がコロナ療養中のため、夏休み最後の怒涛の研修ラッシュと、2学期以降の研修等に関わるミーティングをこなしながらの家事生活だった。それ自体はあまり苦にならず楽しめるけど、仕事と両立しながらでは結構きつい。熱も下がって元気なのに10日間の隔離は、かかってない家族の免疫を下げるのではないか、などと考えてしまう。





さて、この夏休みにGIGA端末の持ち帰りをしたところ、踏み出せず学校保管したところ、それぞれの事情で大きく分かれた。しかし、2学期以降はいよいよ持ち帰りも本格化してくるはずだ。それに合わせて教育委員会や先生たちが心配するポイントは、子どもたちの端末にどのくらいの制限をかけるのか、ということだ。


最近研修後の質問でもよくこの話題が出てくる。大人たちは漠然とした不安を抱いてしまうのだ。しかし現実はどうだろうか、令和3年度 青少年のインターネット利用環境実態調査を見てみると、スマートフォンの所持率は今までになく伸びている。


小学生:63.3% 中学生:91.1% 高校生:99.3%


これまでもそうだったが、この数字は講演会後に子どもたちに聞いてみると、現実的な数値だということがわかる。


こんな現状にも関わらず、GIGAスクール構想で配布した端末に対して、ガチガチのフィルタリングをかけ、さらにはブラウザのアプリを消した状態で、ようやく家庭への持ち帰りにGOサインを出す自治体は少なくない。





しかし、ガチガチに制限をかけた端末を、子どもたちは積極的に使うだろうか。小学生の6割以上、中学生も9割以上の子どもたちが、自分専用のスマホを所持している現状で、大人が心配するようなことをするんであれば、自分の端末でするだろう。


GIGAスクール構想で配布した端末で、何か問題や不祥事が起きた時に問われるのは、教育委員会としてどういう制御をしていたか、学校でどのような対策を講じていたか、ということだ。


学校の端末でアクセスできないことが分かれば、子どもたちは自分の端末、家庭にある端末でそこを探す。わざわざ使いにくく、制限のある端末でめんどくさいことはしない。


ということは、子どもたちが何かのトラブルに巻き込まれるリスクは、ほとんど回避できない。本質的に子どもたちを守るのであれば、全ての端末にガチガチのフィルタや制限をかけるしか方法はないのだ。





本当に子どもを守りたいのであれば、テクノロジーによる機能制限だけでは子どもたちを守りきることは難しい。どんなに強い制限をかけたところで、イタチごっこにしかならない。そう考えると、子どもたち自身のリテラシーを高め、危険を回避できるためのスキルや知識を習得してもらうしか方法はない。


子どもたちを守るためには、テクノロジーの力を借り、子どもたちのアクセスや使用方法について極限まで制御を少なくした状態で、日常的に使用していくことと同時に、子どもたち自身を成長させ、判断ができるようなリテラシーや情報モラルを身につけたり、そもそもの生活指導の充実が必要になる。さらには夢中になれるような創造的な課題が大切だ。


どれか一つのアプローチで完結することはできない。そのために今子どもたちがどんな風に3時間も4時間もネットの世界で生きているのかを知る必要がある。まずは知り、自分も体験しながら子どもたちと対話し、守っていきたい。



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