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  • 執筆者の写真Toshihiro Doi

”豊かさ”という価値観

今週は神戸、大阪へ行ってきた。新しい出会いも、友人との深い話しもあり、いい出張となった。随分秋らしくなってきて、気候の変化、温度差にやられて、珍しくうちの子どもたちも風邪をひいている。稲の穂もびっしり実り始め、収穫の秋まであと一月ちょっと、とっても楽しみだ。




さて今週は”豊かさ”について考えてみようと思う。私は生まれも育ちも大分、別府。別府はご存知のように温泉天国(湧出量日本一)、「内湯」といって各家庭のお風呂に温泉を引くことができる。実家にも今の前に暮らしていた家でも温泉があり、24時間入り放題だった。そんな恵まれた土地を離れ、今私が暮らしているのは日出町大神、別府から車で20分ほど離れた田舎だ。わざわざそこに土地を買い、家を建てた。長男が入学するタイミングで家を建てて、田舎暮らしを選択したのだ。


今いるところは、生活するには多少の不便はあるものの、困るほどではない。犬を飼いだしてからの2年くらい、家にいるときは毎朝、毎夕必ず散歩に出かける。20〜30分くらい歩くのだが、この時に感じる空気や風の匂い、太陽の位置、草花の様子、鳥や虫の声は本当にすごい。それぞれ決まった時期に決まったところに花が咲き、鳥や虫の声がする。そのことを感じながら歩けるのはとても楽しいし、価値があると思っている。さらに米作りや野菜づくりをしているので、日照時間や温度、水の具合なども自ずと知ることになる。




他にも散歩しながら出会う近所の人たちとの会話もとても楽しい。天気の話から、それぞれのお家の話まで、ご近所だから話せること、おじいちゃんおばあちゃんと話している時間も心地よい。地域コミュニティがしっかりしているからこそ起きるコミュニケーション、これも大切にしていることの一つだ。



自然の変化に敏感に気づくこと、会話の中から得る安心感や満足感、知ることの喜びは、何にも代え難い。それを黙っていても勝手に与えてくれる田舎でのゆっくりした時間は価値があるし、大切だ。




学校に置き換えると、知ること、学ぶことは人に”豊かさ”をもたらすことと同じだ。好奇心を持って学んだことは人に豊かさをもたらす。そのことに気づくことこそが、学校で教えるべきことなのかもしれない。学ぶことって楽しい、とか、知ることって素晴らしい、という価値観に気づかせることが、先生の仕事なのかもしれない。



では今、先生自身は”豊かさ”を感じて生活できているだろうか、その価値観を自分の中でしっかり理解できていないまま、子どもたちに向き合っていかざるを得ないこの状況は、早く打破しなくては、と思う。自然の豊かさ、人とつながることの大切さ、学ぶことの価値や意味、そもそもそういうことを考える時間すらないこの現状を脱却しないと、これから子どもたちに伝えるべきことは何かを、見失ったまま進んでいきそうだ。解決が困難な課題に向き合っていく子どもたちに、私たち大人は、どんな価値観を一緒に考えてあげられるだろうか。そのためにまずは自分たちが”豊かさ”について考えないと、と思う。



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