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  • 執筆者の写真Toshihiro Doi

オンラインでどうデザインする?

台風の季節がやってきた。子どものころから毎年のように台風を見てきたし、経験してきた。近年は今回のように直撃することは稀になってきているが、なんとなくソワソワ、ワクワクしてしまう自分もいる。今回は雨よりも風がとっても強い、雨台風、風台風、などという言い方もするけど、とにかくじっと過ぎ去るのを待つしかない。実際台風に対してできることはそんなに多くない。





コロナや台風の影響で今週のスケジュールは大きく変更した。現地に行き、会って話したい人もたくさんいたけれど、実際に行っていたらおそらく帰れなくなっていたと思う。

こうなってしまうと、必然的にオンラインでなんとかするしかない。8年間も教員研修に携わっているが、こんなに大きな変革が起きたのは本当にこの1年半くらいだ。


当初はオンラインで研修なんて無理だ、と思っていた。何より受講者の反応が見えないこと、その場の空気を掴むことがとても難しいこと、私の場合は一方的な講義形式ではなく、実技やワークを伴う研修が大半で、私自身一番得意なのはその場で判断し、反応や様子に合わせてその場で変える事のできる反射神経だからだ。


そんな自分の良さが発揮できないオンラインでの研修は、本当に苦しかった。そのための方策はこの1年半、ずっと模索し続けてきたし、いろんなことを試し、失敗し、改善し、の繰り返しだった。今はずいぶん慣れてきて、オンラインでの研修の組み方や、準備、場の空気の掴み方が少し見えつつある。





そんな中で、夏休み明けのこの期間、全国の多くの先生たちが、同じような苦しみや悩みに苛まれた。2学期が再開できない、ということが起きたのだ。去年の春から夏にかけては、全国一斉休校を強いられたが、GIGA端末はまだ未整備だったので、従来のプリントと電話で、なんとか時間が経っていった。しかし今回はそうはいかない、4月に整備された状況は保護者も含め、周知の事実だ。さあオンラインで何をしますか?という現実に直面したのだ。


しかし、私が1年半前に抱いた不安や懸念より、もっと大きなものを抱きながらのスタートだった。多くの公立の学校がオンラインに舵を切るしかない状況になったのだ。特に都心部では深刻で、保護者からの要望の声も大きく、登校に不安を抱く家庭も多いし、実際に来ることが難しい状況も多く発生した。


「同期」「非同期」の学習の内容や、フルオンライン、ハイブリッド、ハイフレックスなどなど、多くの分類がなされたが、実際は多くの学校が、登校している子どもたちと、家庭から受講させたい、という親のニーズに合わせ、登校に不安を覚え、休む。という2つに分かれた。


なんとなく、普段の授業をカメラやタブレットでオンライン会議システムで中継すれば良いだろう、といういわゆるハイフレックス型の授業を進めたが、本当にそれが有効だったのかはまだわからない。しかし、先行している先進校では、その形をとっている学校は少ない。先生たちなりに精一杯頑張っている様子は本当によくわかるし、苦手な先生も果敢にチャレンジしている話しも多く聞いた。





令和3年8月20日に文部科学省から出された「小学校、中学校及び高等学校等における新学期に向けた新型コロナウイルス感染症対策の徹底等について」という通知の中には、6.やむを得ず学校に登校できない児童生徒に対する ICT の活用等による学習指導という項目で、次のようになっている。”学習に著しい遅れが生じることのないようにするとともに,規則正しい生活習慣を維持し,学校と児童生徒との関係を継続することが重要”これが達成されれば十分なのだ。実際、出席停止の扱いとなり、いくらオンラインで進めても学校にいなければカウントされない、というのが事実だ。


よかったかどうかは、先生たちの頑張り度合いではなく、保護者の安心感でもなく、授業を受けた子どもたちに聞くのが正しいのではないだろうか。子どもたちにとって、満足度が高く、おかげで勉強も遅れず、生活リズムも壊さず、寂しくなかったよ、という評価になるような授業を、どう組み立てデザインしていくのか。正解のない問いに対して、私たちも探求し、学びの歩みを止めず、思考し、情報を集め、ベターな選択をしていくしかない。私も、みんなの知見を集め、一緒にモヤモヤし、悩んでいきたい。

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