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  • 執筆者の写真Toshihiro Doi

先生という仕事

夏休みも後半を過ぎ、お盆を超えると朝晩は少し涼しい風が吹くようになった。私の短い夏休みもあっという間に終わり、また忙しい日々が戻ってきた。とうとう我が家にもコロナの波が訪れてしまい、色々と大変な一週間だった。スケジュールを調整したり、研修をオンラインに急遽切り替えたり、いろんな方に迷惑をかけてしまった。


症状などはおおむね聞いていた通りだけど、家庭内にいるのに会えない状態は少し寂しい。オンラインでつなぎながらの食卓は、不思議な空間だ。子どもが高熱を出して寝込んでいるのは親としては辛い。早く元気になってほしいし、色々と終息を願うばかりだ。





このブログでも何度か書いてきたけど、私は子どもの頃から先生という仕事に憧れ、いい先生になるにはどうすればいいか、そんなことをずっと考えながら大人になってきた。だから先生になってからも、しんどいことはたくさんあったけど、それを上回る楽しさややりがいがあって、幸せな教員時代を過ごしていた。


転機になったのは教育委員会への異動だった。プレーヤーとして授業を行なっていた自分が、サポートする側にまわり、先生たちを励ましたり、アドバイスしたりという一歩引いた立場になった。その後もいろんな人とのつながりや、大きな人生設計の中で退職し、起業した。今はさらに先生たちを支える仕事にアクセルを踏んで、エリアもどんどん拡大しながら仕事をしている。


今年の5月の調査で、全国で2800名の教員が不足している実態が明らかになった。昨年度よりも36%も増えているらしい。新学習指導要領やGIGAスクール構想が進み、新しい教育への転換が迫られる中で、現状では教員が不足しているのだ。大分県の採用試験も1倍を切る倍率だった。


今の学校では、さまざまな立場の人たちが働いている。教諭だけではなく、定員内の臨時講師、産休・育休代替、病休代替、非常勤講師、ICT支援員、学習支援員、特別支援員、ソーシャルワーカーなど、各自治体や学校の事情によってさまざまだ。働く人たちも退職後の再任用の人、採用試験を受けながら働く人、主婦で半日だけ勤務する人、いろんな人たちがいる。





突発的に発生する欠員には、事前に登録した臨時講師が配置されるが、学校の多忙化や、コロナ禍での学校の大変な状況、歪な年齢構成による大量採用によって、そもそもその登録数が激減している。根本的にいろんな基準や財政の事情によって、定員が足りていない。


足りない分は、その時その学校にいる人たちのマンパワーでカバーし、学校を運営している現状なのだ。そうすると現場はさらに疲弊し、ギリギリの学校経営になる。若い先生たちはその現状をSNSで日々吐露し、採用を希望する人たちは減っていく、まさに負の連鎖だ。そういう意味では公立学校のこの仕組みは破綻しているのかもしれない。


一方で、休日の今日も、たくさんのオンラインセミナーが開かれ、そこに参加し、新しい授業を創造しようと頑張る先生たちもいる。二学期に向けてたくさんの研修を受講し、子どもたちが来ることをワクワクしながら待っている先生もたくさんいるのだ。


保護者や地域の人たちと子どもたちの成長を見守り、対話を続けながら育てていく先生という仕事は、何にも代え難い魅力的な仕事なんだと思う。日々成長し大人になっていく子どもたちと一緒に過ごす時間は幸せだ。





だからこそ、この負の連鎖を断ち切り、先生たちにゆとりや余白があり、毎日子どもたちの前でニコニコしていられる状態を作り出したいと思う。心も体も元気で、生き生き働く先生たちの姿は、子どもたちの明るい未来を創造するに違いない。


社会全体がこの公立学校の現場に危機感を感じ、もっと大きなムーブメントを起こさないと仕組みを変えることは難しい。先生たちの辛さは、子どもたちの成長、未来に直結する。

先生の仕事はとても素晴らしいし、未来を担う子どもたちを育てる楽しさを感じてもらいたい、そして子どもの持つ大きな可能性を知ってほしい。微力だけど私も、そんな先生の応援隊として頑張りたい。

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