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未来の首都で、旅の原点に戻るEducation Bridge2026 Indonesia

執筆者の写真: Toshihiro Doi
Toshihiro Doi
8月29日
読了時間: 5分

朝からアザーンの声で目が覚める。アザーンは朝の時間帯のお祈りのことで、毎朝4時になるとモスクのスピーカーから周辺住民に対して、大きな声で歌が流れる。しかも生歌で延々と続く。長い時は2時間くらい・・あちこちにモスクがあり、それぞれが歌うので、共鳴しながら早起きを促される。数日経つと慣れてくるが、どんなスケジュールでも4時に起こされる。



今日は2つの学校を紹介したい。1校目はバンドン教育大学への視察だ。見学させてもらったのは附属中学校。教育大学の附属中学校というだけあって、先生たちは大学の先生の指導のもと、今のカリキュラムの指導方法についてしっかり学んでいる感じがした。日本語を学ぶ子どもたちも多く、日本語の先生たちもフレンドリーに話しかけてきた。先生たちとのディスカッションでは、友人のララスさんの通訳のおかげで、互いに母国語で表現し、伝え合えたことで深い話がたくさんできた。先生たちは自分たちの仕事に誇りを持って働いていて、教師の仕事はとても大切でいい仕事だ、どの先生も言っていた。そうやって誇りを持って働いていることそのものに、大きな意味と価値があると感じた。


最後の1校は、これまでの数年で訪れた様々な学校と比べても、一番すごかった。そして、この学校での経験が、この旅の意味そのものなんだな、と感じるくらい、私たちの原点に思考を引き戻してくれた。


この学校がなぜ生まれたのか。その背景を知るには、まずインドネシアの新首都について触れておきたい。

インドネシアでは、ジャカルタからヌサンタラへの首都移転という、国家的な大プロジェクトが進んでいる。2022年に法律でヌサンタラが新首都として定められ、現在も首都機能の移転と街づくりが続いている。


そもそもインドネシアは、

約17,000の島々からなる世界最大の島しょ国家だ。

もう少し正確にいうと


  • 政府が認定している島の数:約17,500島

  • 人が住んでいる島:約6,000島

  • 無人島:約11,000島以上


その中で今回訪れたカリマンタン島はインドネシアの未来を象徴する島

カリマンタン島=ボルネオ島にあたる


ボルネオ島は世界で3番目に大きな島で、1つの島を3か国で分け合っている。

  • インドネシア:カリマンタン地方(島の約73%)

  • マレーシア:サバ州・サラワク州

  • ブルネイ:ブルネイ・ダルサラーム国


つまり、「カリマンタン島」というより、ボルネオ島のインドネシア領がカリマンタンなのだ。そしてこの島はとにかく広い


面積は約74万㎢で、日本(約38万㎢)の約2倍。

ところが人口は約2,400万人程度で、日本の約5分の1しかいない

その面積のほとんどは熱帯雨林だ。

そんな島に首都が移転したのが今のインドネシアだ。これは世界的にも非常に珍しく、この先の未来の首都を、自然と共存しながら作っていきたい、というインドネシアの新しい未来型の考え方だ。そして訪れたヌサンタラは近代都市でありながら緻密に設計され、自然を残しながら、共存しながらの開発が進められていた。



さて、話を戻すと今回訪れた学校は開校からまだ2年しか経っていない。幼稚園生と小学1、2年生、中学校1、2年生しかいない学校だ。首都の移転に合わせて作られた学校で、この先、たくさんの様々な人たちが動いてきた時に、地元にいる人たちも通える間口の広い学校を作らなければ、というコンセプトで作られたカトリック系の学校だ。「どんな宗教でも受け入れる」ということを公言している、いわゆるダイバシティを体現している学校だ。



私たちのような海外からの訪問はもちろん今日が初めてだったので、学校の全校生徒、スタッフを挙げての大歓迎だった。子どもたちの司会のもとに始まったセレモニーはしっかり準備されていて、地元の伝統楽器を使った合奏や、ダンス、歌のプレゼントが次々に繰り広げられた。中でも一人の女の子がAKBの「365日の紙飛行機」を歌ってくれ、その歌に合わせて私たち含めみんなで合唱しは、国籍も年齢も飛び越えて共鳴できた瞬間、自然と涙が流れた。インドネシアの島で、圧倒的にピュアな子どもたちを前にして、私たちは教育の原点を見た。



施設的にも最新で、これから必要な空間や什器がたくさんあり、学ぶことも多かった。個人的には代表の挨拶を初めてインドネシア語でチャレンジしてみた。拙すぎるインドネシア語が通じたことはすごく嬉しかった。現地の言葉で伝えることも大事だな、と感じた。


セレモニーや見学の後は、先生たちとのディスカッション。それぞれに聞きたいこと、今ある課題についてたくさん話すことができた。抱える悩みはたくさんあるけど、まだまだ外から見た日本は憧れで、先進国でITも進んでいてPISAの成績もいつも上位、それはどうしてなのか?と何度も問われた。でも私たち自身は、それよりも山積する目の前の課題が多すぎて、その良さを感じることはできていない。でも今のインドネシアの次のフェーズでは、今の日本のような課題を感じるリスクもあるし、その世界線は必ず訪れるのかもしれない。



今の日本の教育現場は複雑で、抱えている課題も多い。でも一方で世界の中では学力は高いし、端末整備の進み、先進国で憧れられる存在なのかもしれない。だからこそ、この課題を乗り越えた次のフェーズは、今よりもっと素晴らしい世界を作りたいと思うし、それを実現したい、と強く思った。



私たちは日々、目の前の課題ばかりを見ている。だから、自分たち日本の教育の価値を見失いそうになることもある。でも、海外に出ると、日本の教育には確かに積み重ねてきた強みがあることを気づかされる。日本の教育改革、今はまだ道半ば、プロセスでしかない。だからもがいてもがいて、あるべき姿を模索し、形にしていきたい。その原点を今回の旅で見れたことの価値や意味は大きいと思う。

 
 
 

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