一人では奏でられない音―バンドンで出会った平和と文化 Education Bridge2026 Indonesia
- Toshihiro Doi
- 3 日前
- 読了時間: 3分
インドネシアの朝は早い。毎朝4時になるとモスクのスピーカーから礼拝への呼びかけ(アザーン)が街中に響き渡る。朝のお祈りの声なのだ。この日の宿はちょうど谷の中にあるので、あちこちのモスクの音が共鳴して、声が重なって聞こえてくる。そんな朝の目覚めだ。
滞在3日目は土曜日ということもあり、学校訪問はお休みで、観光の1日になった。バンドンの街中でインドネシア料理を食べ、通りを歩いた。ジャカルタから少し離れた都市だが、若者がとても多く、アートな人たちが集まる街だと聞いた。至る所に絵を売る人や、路上カラオケみたいに、マイクとスピーカーで歌を歌い、踊りまくる陽気なおじさんが溢れている。若者はオシャレをしてプリクラのようなものを撮ったり、流行っているものを求めて集まっていて、とても賑わっていた。
そんな中でアジア・アフリカ会議博物館というところに行った。
バンドンのアジア・アフリカ会議博物館は、1955年に開催されたアジア・アフリカ会議(バンドン会議)の会場をそのまま保存した博物館だ。残念ながら当日は、会議場そのものを見ることはできなかった。植民地主義からの独立や平和的共存、アジア・アフリカ諸国の連帯について話し合われた歴史的な場所だ、ということを教えてもらった。中でも「バンドン十原則」はその後の国際社会にも大きな影響を与えたと言われていて、日本語訳を読んでみると、今読んでも大きく頷かされる内容が数多く書かれていた。平和とは程遠い、今の世界の状況を思うと、この宣言の凄さや重みを感じることができた。
その後はSaung Angklung Udjoというとこを訪問した。ここでは、竹で作られた伝統楽器「アンクルン」について深く知ることができた。人形劇に始まり、子どもたちによるダンスや音楽、観客参加型の演奏体験まで。世界中から集まった参観者も一緒になって踊ったり演奏したり、2時間近くもあったが飽きさせない工夫と熱量で、すごいエンタメだった。
スンダ文化の魅力を世界へ発信するための工夫や積み重ねを感じた。アンクルンは1つの楽器が1音しか奏でられないので、一人では演奏できず、一人ひとりが担当する音を協力して奏でることで初めて一つの音楽になる。そのため、昔から「協力」や「調和」の象徴として親しまれ、2010年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されているようだ。
司会の人のテンポや回し方も勉強になるが、出てくる人たちがみんな洗練されていて、気づけば会場がすごい熱気になっていた。小さな子どもたちから大人までかなりたくさんの数の演者が出てくる。そこに出演する子どもたちは、住み込みで午前中は勉強で、午後からは練習とステージの毎日らしい。所属の多くが家族単位で、大きな家族劇団のような構成になっていた。日本でいうところの旅芸人のような形態で、100人以上の大所帯だった。
2時間余りのその時間は、「インドネシアへようこそ、楽しんで帰ってください」というホスピタリティあふれるメッセージが込められた時間だったように思う。本当にあっという間の2時間だった。文化は、教科書で学ぶものではなく、人から受け継がれ、人と一緒に体験することで心に残る。そんなことを実感した時間だった。
#AppleEdu #Bandung



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