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  • 執筆者の写真Toshihiro Doi

遊べる余白

今週もまだ寒い日が多かった。昼間天気はとってもいいのに、風や空気がピリッと冷たくてびっくりする。そろそろ暖かい日が来てもいい頃だ。庭のクリスマスローズがむっくり起き上がって蕾が膨らんできた。春は確実に近づいているし、気づけば暦も2月後半、今年度ももうすぐ終わりだ。


今週は研修ラッシュ、今年度の研修が次々と終わりを迎え、先生たちの充実した表情や、次年度に向けてのチャレンジの計画を聞いていると、「現場で頑張ってくれ」と心から思う。ここで終わりではなく、ここからが始まり、同志をどんどん増やしていきたい。





さて、そんな研修ラッシュの中感じたことがいくつかあった。年度当初はやる気に満ちて、とっても元気だった先生が、なんだかおとなしく、疲れているのだ。なかには欠席する人や、リタイヤする人もいる。「学校事情で」というのもいくつかあった。


継続して同じ人に対して行う研修は、当然だけど代理では難しいし、欠席するとリカバリは時間がかかる。先生たちもわかっているはず、でもそれでも研修に参加できない事情があるのだ。


現場では本当に人が足りていない、年度当初から定数を割った状態でスタートし、なんとか進んでいたのに、仕事が溢れてこぼれ落ち、途中でお休みする先生が出る。そうすると残った人の負担はさらに増え、またしんどい状態が生まれる。元気だった若い先生たちもストレスを抱え、ゆとりのない職場の状態になってしまう。委員会も人を探してはいるものの、すでにどこにもいない・・まさに負の連鎖が起きている。


さらには、代替がこないことがわかりきっているので、産休に入る選択をあきらめる人も出ている、という衝撃的な話も聞いた。少子化にも拍車をかけている今の学校現場、かなり事態は深刻だと思う。数だけでは見えてこないリアルな話だ。研修に行くことさえも後ろ指をさされてしまう、とも言っていた。こんな状態で働く先生たちをみて、子どもたちは何をどう感じるのだろうか。ニコニコ笑って教壇に立てないのは、この仕事をする上で致命的だ。





学校の先生で一番大切なのは、いつもニコニコ機嫌良くしていることだと思う。それなのにそうできないしんどさが、今の現場にはある。そんな中、ある研修でうれしいことがあった。私の研修はどちらかというと、受講者がアウトプットする時間が長い。一つの課題についてディスカッションすることや、考えたこと、感じたことを動画やスライドでアウトプットする場面が多いのだ。


特に最近は、年度末で研修のラストが多いので、その日もスキルアップしたことを使いながら、動画でアウトプットしてもらった。大体はその年にチャレンジした実践や、子どもたちの様子をコンテンツとして持ってくる先生たちが多い、でもその中でいくつかのグループは、廊下に出て収録を始めたのだ。


ニコニコしながら戻ってきて、それぞれが分担して編集を始めた。最後の上映会で出来上がった動画は、とっても面白くて、真剣にふざけていた。おもしろ要素の入った動画は、なんだかその場の空気をガラッと変えたような気がした。2年間かけて一緒に研修してきた仲間同士だからなのかもしれないが、いい動画ができた。





チームで相談して短時間で動画を作成するミッションは、そんなに簡単ではない。その場で身につけたスキルをすぐに活用することも難しい。でも楽しみながら、ふざけながら、おもしろがりながら取り組む先生たちを見ていると、ワクワクしてうれしくなる。そしてそんな雰囲気の研修ができたことがとっても嬉しかった。


子どもたちが遊びながら学ぶこと、そんな余白やゆとり、余裕がもっと学校にあればいいな、と思う。ニコニコ笑って、一緒に楽しむ余裕が先生たちにあれば、子どもたちはもっといきいき自分らしく学べる。だからこそ、先生たち自身がもっといい働き方ができる環境を作らなければ、と思う。そしてせめて研修の中だけでも、楽しく学ぶことの大切さを感じられる空間を作っていきたい。

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